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国際協力

▼農学研究院、熱帯農学研究センター


案件名 農学研究院、熱帯農学研究センター ハノイ農業大学強化計画
協力期間 1998年9月1日~2003年8月31日
援助形態 技術協力プロジェクト
協力金額 7.78億円
実施背景 ベトナムにおける農業は、GDPの約28%、
就業人口の約73%を占める基幹産業であり、
農業生産の動向は国内経済を左右する重要な要素となっている。
ベトナム政府は1986年よりドイモイ(刷新)政策を実施しており、
農業分野においても市場経済に則った農業政策の
立案・運営、近代農業に必要な技術の研究・開発、
さらに農家の指導にあたる人材の育成が急務となっている。
また、ベトナム政府は社会経済開発計画(96~00年)において、
大学教育の質を向上させることを重点政策と位置づけている。
また、ハノイ農業大学は、56年の創立以来、
農業農村開発省や国立農業試験研究機関等に多くの卒業生を送り出しており、
ベトナムにおける農業高等教育の中核となってきたが、
共産圏諸国の支援が得られなくなったことから大学としての機能と能力が疲弊していた。
こうした状況の下、ベトナム政府は、同大学の教育・研究の強化を計画し、
教育、研究及び組織運営の近代的な知識・技術の移転と
実験機材の充実を目的として、我が国にプロジェクト方式技術協力を要請した。
協力内容

ハノイ農業大学の教育・研究の質の向上を目的に、
農学部、土地水資源管理学部、経済・農村開発学部の3学部に対して、
教官への技術指導、シラバス等の改善助言、施設整備等の協力活動を行う。

(1)上位目標:ハノイ農業大学全学部の教育・研究の質が向上する。

(2)プロジェクト目標:ハノイ農業大学3学部 (農学部、土地水資源管理学部、
経済・農村開発学部)の教育・研究の質が向上する。

(3)成果
1)研究の質が向上する。
2)教育の質が向上する。
3)機材・設備が、研究・教育の質の向上のために、適切に据付・利用・
維持管理される。

(4)投入

日本側 長期専門家派遣 9名 機材供与 2.20億円
短期専門家派遣 30名 ローカルコスト負担 1.00億円
研修員受入 23名  
相手国側 カウンターパート配置 67名 土地・施設提供
ローカルコスト負担 0.60億円  
事業評価

(実績)
対象3学部の研究の質的向上に関し、
リサーチペーパーの発行部数及び研究論文、
調査報告書等の発表数が増え、博士号・修士号取得者数が増加した。
また、供与された機材を有効に活用し、
5種類の実験マニュアルが土地・水資源管理学部において作成され、
協力対象3学部において合計17のシラバス
(授業概要)に対して改訂助言がなされた。

(妥当性)
プロジェクト目標は、教育訓練省が掲げる教育政策
(教育訓練開発戦略:01~10年)のうち、カリキュラムや
教育手法の改善、および教育者の質的・量的向上という政策を
直接的に支援するものとなっている。
また、農業農村開発省が掲げる農業政策
(農業農村開発5ヵ年計画:01~05年)とも合致している。

(有効性)
研究の質を測定することは困難であるが、
対象3学部のリサーチペーパーの発行数が増加傾向を示しており、
科学技術省の研究助成をはじめとする外部機関からの
委託調査研究が増加したなど、経年変化を見定めることができ、
期待された成果はほぼ達成されたと判断できる。
一方、実験室・実験圃場の整備等により、
実験を伴う授業が増加したことで教育の質が向上したと考えられる。

(効率性)
投入は概ね計画通りに実施され、効率的であったと判断される。
プロジェクト開始時に農学分野の長期専門家の派遣の遅れや
土地・水資源分野の専門家が4年目以降派遣されなかったことなどがあったが、
短期専門家の派遣等で対応しており、成果の達成には大きな影響を与えなかった。

(インパクト)
上位目標の達成につながる指標としては、
中央実験室及びコンピュータ室の他学部による利用など、
大学内学部間の交流が以前に比べて増加していることが確認できた。
また、その他の正のインパクトとして、大学の評判が内外で高まり、
教育訓練省のカリキュラム改善のモデル学部
(農学部、土地水資源管理学部、獣医学部)として指定されるとともに、
入学志願者数も増加した。

(自立発展性)
政策面では、本プロジェクトが目指している上位目標は、
ベトナムの教育政策、農業政策と合致しており、
今後の自立発展性に問題はないと考えられる。
技術面では、本プロジェクトにおいて技術移転された内容は
カウンターパートに十分理解されているとともに、
日本で研修を受けたカウンターパートのほぼ全員が
ハノイ農業大学に残り研究、教育を継続している。
このことから、本プロジェクトで移転された技術は終了後も持続的に発展、
普及していくものと考えられ、自立発展性は高い。

組織面では、学生数の増加に伴う授業数の増加により
カウンターパートが多忙を極めており、労働環境が改善されない限り、
カウンターパートが研究のための時間を取ることが
より困難になっていくと予想される。

財政面では、委託研究費、授業料などの各種歳入が増えており、
学長も大学としての予算確保の意向を示しているが、
本プロジェクトで供与した機材を恒常的に利用するためには
相応に高額の維持管理費が必要であり、楽観することはできない状況である。