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▼マレーシア「サバ州持続的資源利用による貧困地域所得向上事業」に係る提案型調査


●東マレーシア・サバ州における提案型調査の実施

国際協力銀行はマレーシアにおいて経済発展の遅れている東マレーシア・サバ州等の
貧困地域における円借款支援の可能性につき検討している。
同地域において、環境に配慮した持続可能な開発を目的として、
格差是正に資する新規円借款事業の発掘・形成に向けたモデル性の高い案件を
提案する本調査が実施されることとなった。

●調査実施背景

マレーシア連邦を構成する13州の中で、サバ州の所得貧困率は
22.0%(2004年)と最も高く、全国平均(5.7%)の約3倍にのぼる。
同州では、農村部の貧困率(24.5%)が都市部(8.7%)の約3倍で、
都市と農村との経済格差が大きい。サバ州政府は
第9次マレーシア国家開発計画(2006-2010年)における
サバ州開発アジェンダにおいて、2010年までに同州内の貧困率を
6%にすることを目標とし、社会開発と経済開発との
適切なバランスに留意しながら、都市・農村部での格差の是正を進めることとしている。

サバ州は豊かな自然環境・生物多様性を有しているが、
森林面積は急速に減少している。マレーシアの国土に占める森林の割合は
現在63%にまで減少しているが、特にサバ州の森林の減少率は半島部、
サクワラのそれと比べても高く、この30年間に森林面積の1/3が失われた。
林業生産がサバ州の総収入に占める割合は、
1980年の71%から1998年には26%に減少している。

森林面積が急速に減少する一方、サバ州ではアブラヤシ農園が急速に増加してきた。
アブラヤシ農園の面積は過去25年間で15倍に拡大している。
2003年にはアブラヤシ農園の面積は州全体の15.3%を占めている。
アブラヤシ生産の拡大により、第一次産業部門はサバ州の総生産において首位となっている。
また、サバ州の農林水産業従事者は、サバ州就業人口の36.4%で、
全国平均(17.1%)に比して高く、最大の雇用セクターとなっている。

また、サバ州では近年観光産業の成長も著しい。観光産業は、
サバ州をはじめマレーシアにおいて最も急速に成長している産業部門の一つである。
2000年にサバ州を訪れた観光客は774,475人で、同年の観光収入は
7億1,400万リンギットに達している。エコツアーなどの観光産業の発展により
自然環境を持続的に利用しつつ所得向上がなされることが期待されている。

サバ州政府は、2000年にサバ州生物多様性条例を制定し、
近年は海外の援助機関の支援を受けて自然環境保全のための多様な取組みがみられる。
JICAは2002年から「ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム」に技術協力を行い、
国立公園の管理計画の策定・施行、地域住民の所得向上による自然保全、
新規保護区の申請、市民の環境啓発などの成果をあげている。

●調査目的

サバ州においてパイロット事業を計画・実施し、包括的に評価することにより、
自然資源の持続可能な活用による貧困層の所得向上を図り、
かつ実施可能性の高い新規円借款案件を提案する。

●調査内容

マレーシア側に諮問委員会を編成し、各調査段階で、
右諮問委員会と協議しつつ、以下の調査を実施。

Ⅰ)貧困状況の把握と効果的な貧困削減方法論の提案

Ⅱ)パイロット事業計画の策定

Ⅲ)パイロット事業の実施・評価

IV)必要とされる支援及び新規円借款の提案

●団員構成<7名>



株式会社パデコ
より3名(団長1名を含む)

板垣啓四郎

<東京農業大学>

飯島 倫明

<東京農業大学>

緒方 一夫  <九州大学熱帯農学研究センター・教授>

李  一清  <九州大学言語文化研究院・助教授>

●調査期間

平成18年4月~平成19年5月