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留学座談会「留学のススメ ~学生よ、世界を舞台に競ってこい!~」

この留学座談会では、次の方たちが集まり、和気藹々とした雰囲気のなかで、留学経験者から留学をめざしている九大生への情報提供と意見交換が繰り広げられました。

(参加者)

1.交換留学を経験した九大生

 

渡邉くん(ドイツ・ミュンヘン大学へ交換留学) *司会を担当

 

轟さん(イギリス・ブリストル大学へ交換留学)

 

垂野くん(アメリカ・ミシガン大学へ交換留学)

 

2.交換留学ののち文科省長期海外留学プログラムに採用されて海外の大学院で学位をとり、現在はその分野で仕事をしている九大OB。
松田さん(イギリス・ブリストル大学へ交換留学後、文科省長期海外留学プログラムでアメリカ・コロンビア大学の大学院修士課程へ留学)

3.今年度の選考で交換留学が内定した九大生

荒木くん(タイ・タマサート大学へ交換留学推薦決定)

段原くん(ベルギー・レウヴェンカトリック大学へ交換留学内定)

4.留学をこれから考えようとしている九大生
数名

席上では、留学経験者がきわめてざっくばらんに体験を語ってくれましたので、留学を志す人が必ず心しておくべきことから、通常の交換留学説明会や個別相談では話題に上らないような楽しい、でも、ためになる話題まで出て、時が経つのを忘れるほどでした。

せっかくの貴重な情報ですので当サイトに掲載しましたが、長文ですので、主な話題を項目毎に挙げました。項目をクリックすると、該当の部分だけ拾い読みすることもできます。

(項目)

1. どうして留学しようと思ったのか。留学先をえらんだ理由。

2. 交換留学に向けた準備について。

3. 実際留学してみてどうだったか。大学の授業は?

.4. 語学や文化の違いで苦労したことは?

5. 留学先大学の寮について。

6. 留学する時期や期間について。

7. 留年、就活、進学などに留学がリスクになるか?留学で就活や進学に対する考え方は変わった?

8. 留学したことによって、就活でのアピールの仕方など変わったことがあると思う?

9. 留学先の大学はどうやって決めたの?

10. 現地でネットワークを拡げたり、友達を作るためにどのようなことをした?

11. 理系の学生の留学は難しい?

12. 留学先では専門以外の分野の勉強もできる?

13. 専門分野じゃないと単位互換をできない場合がある?

14. 留学期間中、多くの国を訪れたようだが、お金はどうやって工面したの?現地でバイトはした?

15. 交換留学から帰ってきて進学を目指しながら、一方で就活もした?大学院の入学試験はどんなもの?

司会:今日は本当に寒い中、遅い時間に来ていただいてありがとうございます。交換留学説明会ということで留学にまつわる全般のことを、交換留学を終えてアメリカのコロンビア大学の大学院に進学した松田さんや、交換留学をこれから予定している人たちを交えて自由に話していきたいと思います。

項目1

司会:まずどうして留学しようと思ったのか、またどうやって留学先を選んだのかを松田さんから聞いていきたいと思います。

松田:留学したいと思ったきっかけはいろいろあって、高校時代に学校で英語を教えていたオーストリア人と、ニュージーランド人の方との交流を通して留学に興味をもちました。21世紀プログラムに入学して留学するかについて迷ったこともありましたが、結果的に心から留学したいのだということに気付き、留学に至りました。イギリスを選んだ理由はイギリスが日本と同じ島国であるという共通点および、日本と異なり多文化国家であること点に興味があったことや、語学力を伸ばしたいということです。ブリストル大学を希望した理由は、友人がブリストル大学を卒業したことや周りにイギリスで教育を受けた人が多かったことにあります。
コロンビア大学にて福祉を専攻したことについては、ブリストル時代の交換留学経験が影響しています。ブリストル時代に福祉の勉強に興味がありましたが、それらの授業では実習を要するということから、留学生である私はコースを受講することができませんでした。しかし、ブリストルで実験心理学、社会学及び政治哲学の勉強をする傍ら、ボランティア活動を続けたことで、将来の仕事としてソーシャルワーカーを目指そうと決意しました。その頃は、ブリストル大学のソーシャルワーク大学院に進学希望でした。
同じ頃、妹がニューヨークに留学中で、ホームシックになっている彼女の様子を見に行った際、折角だからアメリカの福祉大学院のカリキュラムや特長を学んでみようということで、コロンビア大学を訪問しました。キャンパス移動で忙しい最中、私の我侭を承知で親切に対応してくださった入試担当の方から、ニューヨークという街の持つ人種及び文化の多様性の奥深さを学びました。また、コロンビアの福祉大学院はアメリカで初めての福祉専門職大学院という歴史ある大学院ということやカリキュラムに惹かれ、結果的にコロンビア大学への進学を希望しました。
帰国後、進学の費用について悩んでいたところ、偶然、文科省の長期海外留学プログラムを知り、「これだ!」と思い、申し込みました。3月末にコロンビア大学に合格し、また、奨学金もいただけるということで、目標に適った進学が実現しました。

司会:松田さんのお話から、交換留学したあとにまた留学に挑戦することはさらに努力はいるけれど、いろんな縁や覚悟、下準備のひとつひとつの積み重ねがあるから実現したのではないかと思います。その下準備というのは今回の座談会に参加し、語学研修に参加することなど、様々だと思います。

項目2

司会:それでは、荒木君と段原君はタイの語学研修の話も交えて交換留学に向けた準備のお話を聞かせてください。

荒木:僕はタイへの交換留学を申し込んだあとに、偶然、2週間のタイの語学研修に参加しました。語学研修に行って感じたのは、事前に留学を目指す国に行くことで、その国の雰囲気や、どうして自分がその国で学びたいかという気持ちを掘り下げて、整理することができました。

司会:段原君は、荒木君といっしょにタイの語学研修で英語のプログラムに参加し、そのあとベルギーの大学に交換留学に行くことになりましたが、その経緯を教えてください。

段原:タイに行く前もすでにベルギーには留学を申請していたが、タイの研修で受けた英語の授業はとても刺激的でおもしろく留学したいという気持ちが高まりました。ベルギーに申し込んだ理由は、あんまり人が行っていない国に行きたいなという気持ちがあってベルギーに興味を持つようになりまた。自分の学びたい分野は確かに他の提携校でも学べたけれど、勉強する環境が大事ではないかと思い、街がきれいだとか、文化の豊かさも考慮してベルギーへの留学を決めました。

司会:垂野くんの留学しようと思ったきっかけやどうしてミシガン大学を希望したかを教えてください。
垂野:留学しようと思った理由は、海外で仕事をしたいと思ったことと海外の大学院で学びたいという希望があり、金銭的にも負担が少ない交換留学に行くことで、就職するにしても進学するにしても、自分にプラスになると思い、申し込みました。なぜミシガン大学かというと、提携校の情報を調べていく中で、ミシガン大学がアメリカの中で自分が専攻している経済の分野で権威があり、またいろんな国からの多くの学生が集まり、そして大学の施設などのインフラが非常に充実していることに魅力を感じました。

司会:轟さんは何年生の時に交換留学に参加し、どうして参加しようと思いましたか?

轟:私は大学3年次にいきました。私は子供の頃から、留学に対する憧れがあり、まず英語を話せるようになりたいという気持ちとヨーロッパに興味があり、交換留学に参加しました。交換留学したこと自体が、非常に達成感がありましたが、あれがきっか
けに、その後の道が広がったので、交換留学したことがいろいろなことのスタートだったと思います。


渡邉:確かに、僕も留学したいという漠然した思いがあり、単純に島国にいるからこそいろいろな所に行きたいという思いが留学に至ったと思いますし、そういう人が多いと思います。そういう面でも九大では、交換留学はもちろんだけれど、交換留学以外にも語学研修のプログラムも充実しているので、最初のステップとして語学研修に挑戦するのもいいのではないかと思います。

項目3

司会:いまどうして留学したかということを聞いてきましたが、では実際行ってみてどうだったか、大学の授業の話などを聞いてみたいと思います。では、垂野くんから聞いてみたいと思います。

垂野:一言で、授業はとても大変でした。最初の数ヶ月は、語学面で授業についていくのが大変で、一つ一つの授業のウェィトが重く、毎日、図書館に夜中まで残って、勉強しました。週末は、逆に絶対に教科書を開かないで思いっきり遊ぶことで生活のリズムを作っていきました。

項目4

司会:語学面の苦労はどんなに準備しても、ネイティブでないから絶対に越えないといけないことだけれど、松田さんはどうやって克服しましたか?

松田:イギリスでは、私の場合は寮のルームメイトがみんなイギリス人で、他の住人も英語圏の人若しくは、イギリスに長く滞在している人達だったので、自分だけうまくイギリス英語がわからず、悩みました。毎日、周りが何を言っているのか分からないことがしばらく続きました。例えば、友人が私に「忙しいの?」と聞いてきたときに、”Are you busy?”が”Are you visit?”に聞こえて、相手が文法を間違っていると思っていたら、自分が聞き間違っていたという笑い話もありました。でも、たまたまブリストルにいた日本人の先生に「1月までがんばりなさい」と言われたことがきっかけで、辛いけどこの言葉にかけて頑張ってみようと心に誓ったことを覚えています。実際はというと、先生の激励どおり、1月過ぎから耳も慣れて、帰国する頃には自信も十分つき、周りの友人から帰国時には「よく頑張った!」とほめられていました。イギリスでの様々な苦労を乗り切ったこと、また、語学の素地を作っていたということから、コロンビア大学では意外とすんなり慣れることができたことや、その当時、イギリス英語を話していたこともあって友達もすぐ作れました。

司会:正規学生としてコロンビアに来る他の学生とコミュニケーションはどんな感じでしたか?

松田:コロンビアはいろんな文化圏、経済圏、宗教圏からの学生がいて、彼らとの交流で様々な文化の違いを学ぶことができました。例えば、宿題が多すぎることから、普段出来ていたお祈りができずに葛藤してるイスラム教を信仰している友人や、食文化の違いで体調を崩し、苦労をしている友人から、語学だけが唯一の葛藤ではないのだ、ということを再認識させられました。留学というと、語学の話が一番最初に出やすいですが、実際は文化や生活の違いといった様々な壁にぶち当たるので、留学生活中は、日々自分を見つめ返すことが大事だと思います。

司会:確かに、留学では語学面の心配もありますが、留学で違う文化を目の当たりにしていくことで、詰まるところ、異文化理解に至るのではないかと思います。轟さんは語学や文化の違いでなにか苦労がありましたか?

轟:私が一番苦しかったのは言語面ですね。住んでいた寮は留学生ばかりで、ネイティブがいなかったので、自分で対策を取らないといけないと感じました。最初はクラブに入り、掲示板に日本語を教える変わりに英語を教えてもらうLanguage Conversation Partnerを募集したりするなどで語学面の苦労を克服していきました。

項目5

司会:大学の寮のお話しを聞きたいのですが、僕はドイツだったので地下にビールの小売店があったりして、楽しかったのですが、遼に住む友達は留学生も多く、生のドイツ語に触れる機会が思っていたよりも少なかったです。垂野くんはどうでしたか?

垂野:寮はたくさんあって、僕が住んだところは一番安くて、一人部屋に二人で住んで、ネイティブでないルームメイトとケンカすることもありましたが、お互いに英語を話す努力をしたり、ボランティアクラブや、音楽をしていたので音楽をする学生と一緒に練習したりして、寮で友達を作っていきました。やはり、自分から動かないと始まらないというのを感じました。

渡邉:僕も留学して、イメージしたよりもネイティブと話す機会がなかったこともあったのですが、積極的に趣味である音楽を通して友達を増やして、言語を間違っても恥ずかしくない友達ができて、言葉の間違いを恐れずに話したことで、上達したのではないかと思います。

松田:交換留学の一番の利点は、世界中から学生が集まっている中で、たじたじながらも留学生同士、交流することで、いろんな国の文化を知れるところにあると思います。語学以外でも他の文化を知れる場所にいれることは魅力的です。たとえば、キプロス出身の友人は、私が英語で苦労していることを知っていたので、食事やパーティーに私を連れて行き、積極的に外に行くことを教えてくれました。その友人とはいまも連絡を取り合っていて、昨年、イギリスを再び訪れたときも再会しました。時間が経ってのちの再会では、留学中には分からなかったことを学ぶことができて非常に楽しかったです。そういう意味でも、交換留学は刺激的な人生のファーストステップだったと思います。

渡邉:うん、「留学で終わり」じゃなくて、「(留学が)次のステップにつながる」ということを留学から帰った人から聞きますね。

松田:語学留学もそうでしょう?

荒木:はい、たった2週間だったけれど、みんなでバスケットしたりして、現地の人も混じって遊んで、全然知らなかった人とスポーツを通して交流しましたね。

段原:タイ語と英語を使ってたくさんの人と食事とかで交流して、最後は泣きながら別れるぐらいの友達もできましたね。

渡邉:ベルギーでも3カ国語だよね?できそう?

段原:日常生活がオランダ語ですしね。僕は行く時期が特殊で、現地の後期に行くので、その分、前からいた留学生にも会えるし、普通の時期にいくより、2倍の友達ができるんじゃないかなと思っています。

項目6

司会:少し話変わって、留学する時期なんだけど、人によって一年間や半年という期間で留学して、中には留年する場合もあるけれど、荒木君はこれから留学する身として、留学時期やプランに関してどう考えましたか?

荒木:九大の留学システムは応募して合格した半年後に行く仕組み(※)ですが、現実的にTOEFLの勉強等で時間がかかって、3年次に留学することになるんですが、そうすると就活もきびしくなると考えました。そこで、思い切って2年次に応募して3年次に行くよりも、4年次に留学するのはどうかなと考えました。いまは、9割方進学に気持ちが傾いていて、このままだと留学中に一時帰国して院試を受けることになりますね。(笑)でも、それを受け入れるだけの自分で考える時間を作ったので迷いはないですね。そうすれば、留学時期について後悔することはないと思います。

国際交流部注※学内選考後、留学出発時期は大学により異なります。選考の半年後に留学開始するとは限らず、ケースバイケースです。

項目7

松田:留学で留年や就活や進学にリスクだと思う人がいると思いますが、留学をしてみて、留学で就活や進学に対する考え方は変わった?

轟 :私はすごく変わりましたね。行く前は、留年はするまいと考えていたので、授業もたくさんとって準備していましたが、でも留学にいって4年後期、すぐ就活してそのまま卒業というだけでは本当に留学した意義がないのではないかと思います。留学しただけが成果ではないので、日本に帰って留学でやってきたことを日本の勉強に反映させることに意義があると思いますし、半年じゃ短いし、一年間ないともったいないと思います。留学をいかに日本で活かすかが大事で、得たものが芽をだして花を咲かすには、留年することも意義があるのではないかと思います。

松田:垂野くんはどう?

垂野:僕は3年次に行くという選択肢しかなくて、留年を考えていたんです。出発前は大学院進学を考えていたんですけど、ミシガン大学で国連や官僚といった世界で活躍をしている人々と出会い、すごく刺激を受けて、自分は一度社会にでてから、ビジネスを経験して大学院にいこうという考えに変わりました。今は、大学5年で、そのうち一年をミシガン大学で過ごして、いろんな人とのネットワークを広げることができ、語学上達や視野を得られたので、留年する価値があることを留学でできると思います。就職に関しても留年することはマイナスにならないし、留学したことはむしろプラスになると思います。

渡邉:自分が変わるというか、留年することは怖いイメージがあったり、日本では履歴がつながっていないことはデメリットだと思う。けれど、外国では、それは当たり前だし、留学の苦労を考えるといろんなチャンスが見いだせるのではないかと思います。

項目8

松田:質問があるんだけど、垂野くんは留学したことで就職にむしろプラスになったといったけれど、もし自分がミシガンに留学しなかった場合に、留学した時と違って就活でのアピールの仕方など変わったことがあると思う?

垂野:そうですね、就活では留学している人はたくさんいるので自分がただ留学しただけじゃなく、自分が何を頑張ったかを言えるようにならないといけないと思います。僕の場合、留学しなかったら自分が希望した就職先も内定を頂けなかったと思います。留学で成長できたのでその話を面接でして、評価されたのだと思います。


松田:留学して具体的にどういう点で自分が変わったと思う?

垂野:一番変わったと思ったのは、もともと田舎で育って狭いコミュニティーにいたけれど、いろんな人種や文化を持つ人々と臆せずにコミュニケーションする力を得られたのではないかと思います。それは、将来外国で仕事をする機会があっても、異文化を持つ人々と仕事で接する際に留学の経験が役立つのではないかと思っています。

松田:その点は大事だと思う。轟さんは留学した自分と留学しなかった場合の自分の比較は難しいと思うけど、留学してどんな点で変わったと思う?

轟: 私も垂野くんと同じで留学して視野が広がったということがあって、いろんな人がいて、学生寮の男女混合フラットの生活でなんでも受け入れる自分になれましたね。勉強が大変で苦しんだけど、それまで自分で心の中で作っていた限界を留学の勉強で超えて、どんなに忙しくても、まだまだ自分はできるという自分の限界を大きく広げることができたと思っています。

   

松田:渡邉君はドイツに行って、どう自分が変わったと思う?

渡邉:日本にいたら自分が知っている環境では、いつも100に向かって頑張るけれど、留学でその100を120に広げるというようなパイ、自分の容量を広げることができたと思います。やっぱり壁にぶち当たって、自分のやり方が通らない場面でそれを越えるたびに自分らしさも変化していったと思います。

松田:私の場合は、すごくアクティブになりました。もともとけっこう落ち着きがないですけどね(笑)、留学してから10カ国以上旅しましたね。それから、昔は結構考え込むタイプだったけど、留学したときは、毎回三歩進んだらつまずくような七転び八起きのような毎日が続いたことから、楽観的な姿勢を身につけることが出来るようになって、結果的に、自分自身を受け入れられるだけの強さを得たと思う。また、コロンビアの福祉大学院の実習やカリキュラムの中で、自分を徹底的に見つめ直すことが要求されて、私は授業でも現場でも泣いたことがあったけど、泣いて諦めるのではなく、その後どう進もうかと考える力とその礎を交換留学で身につけたんだと思います。アジア系のアメリカ人が多く通う高校で、大学院1年目の実習をしたとき、在米8年目ぐらいの中国系のアメリカ人の女子高生とうまくコミュニケーションができないで、大泣きしたことがありました。それで思い悩み、「私はカウンセリングをしません」と当時の現場指導員に言ったところ、彼女が「その涙はどこから来るのかな?」と質問してきたので、英語で感情的に自分が文化の違いや英語で苦しんでいることを全部話したところ、「君はいま英語を話してるよ。何が言いたいかちゃんと分かる。だから、落ち着けば、彼女ともコミュニケーションがとれるよ。」と言われたといったエピソードもあります。最初はとても反抗的だった女子高生が結果的に一番懐いてくれて、その学生からソーシャルワークで最も大切なことを学んだと思います。また、親身な現場指導員との出会いで、文化の違いや言語のハンディがあることが、どのようなことかを深く学んでいくことができました。いまの現場は、アフリカンアメリカンの子供達が多くいるコミュニティーで働いているのだけれど、日本人を見たことのない子達からからかわれたり、彼らの特有の英語がわからなかったり、文化の違いに苦労しました。お互いがお互いを理解できない中、試行錯誤を何度も繰り返して、現在はとてもよい関係を築いているし、本当に色々な学びがあったので、違いがあることは実は大事なことなんだ、と思っています。それに、つらいと思っても、それは次に繋がるステップだし、留学はそういったことを分かり合える人々と巡り会える場なので、チャンスを逃すより、掴んでほしいと思います。

司会:それでは、ここで一区切りして、休憩のあと、質問を来場者の皆さんから頂きたいと思います。

司会:留学先のことでも、どうやって英語を身につけたとかなんでもいいので誰か質問はありますか?

項目9

質問者1:留学先の大学はどうやって決めたのですか?

渡邉:僕はドイツに行ったんですが、専門の環境政策という理由に加えて、ヨーロッパや、英語圏ではないところに行きたいという思い、そして留学前にお金を貯めてドイツにホームステイしたこと、その下準備もドイツ、そしてミュンヘン大学を決めた要因になりました。

段原:タイかシンガポールで迷っていたけれど、チューターの先生から「あなたはフランスがぴったりよ。」と言われたことで、フランスの大学を探したけれど、英語プログラムがなくて、ベルギーの大学が見つかり、環境や最初に考えた大学を比べて、九大からあまり留学生がいなかったので、挑戦したいと思いベルギーに決めました。

司会:轟さんはどうですか?

轟:私はイギリスに行くことは決めていて、その中でも地図を見てブリストルが一番南にあって暖かそうなイメージがあったことと、いろんな国の人と交流したいと思って、他の国からの留学生が多いかどうかを調べたら、ブリストルは190カ国以上の国から学生が来るので魅力を感じました。

段原:付け加えていいですか?僕は留学時期があって、ベルギーだと1月から勉強できるというように早くいけるということもありました。時期も大学選択に関係してくるのではないかと思います。

渡邉:轟さんみたいに国や大学の特色、例えば総合大学かどうかという点や、都市にあるか田舎かという点もあると思います。一つ聞いたのは、僕の姉もアメリカのベレア大学に交換留学したのですが、ベレア大学では交流を図る目的として学生は就労義務(学内でのバイト)があるそうです。各大学によって、いろんなサポートや特徴があります。また留学経験者に直接話を聞いたり、国際交流課の提携校リストを使って調べていくという方法も、とてもいいと思います。

松田:加えて大学生活を知るのは、九大の国際交流のホームページから交換留学者のレポートを通して大学の特徴などが学べるので、そういった生の声を聞くのもいいと思います。私がブリストルを選んだのは、友人が過去に在籍していたことや、実験心理学や社会学、政治学がトップレベルの大学だったのでブリストルを選びました。私が実際に行ったときは、最初に授業で、実験心理学科はその年は2500人ぐらいが出願して、150人しか受からなかったというすごいところだと知り、驚きました。ブリストル大学はアカデミックな面でもやりたいことができる場所であったし、言語文化研究院の先生から、ブリストルは規模が小さいので馴染みやすい街ではないかというアドバイスを受けたこともあって、志望に至りました。

項目10

質問者2:現地でネットワークを広げたり、友達を作るのにどのようなことをされましたか?

段原:九大に来ているJTWの留学生を通して自分が留学したときに知り合いを紹介してもらうのもいいですよね。行く前からそういう人に連絡するのがいいと思いますね。

渡邉:僕は、言葉を使わず楽器を通して語り合える音楽、バンド活動を通して輪が広がりました。

垂野:日本語を専攻している学生はどこにでもいるんですけど、ボランティアで彼らに日本語を教えることを通して、友達になり代わりに彼らから英語の発音の練習をしてもらいました。日本語を教えられるのは日本人のアドバンテージなので役立つと思います。

轟:あとお寿司を作れると友達が増えます。現地の学生に今度お寿司を作ると言ったら、すぐたくさんの人が集まるので楽しいと思います。友達を作るのにお寿司は役立ちます。

渡邉:ミュンヘンでは、日本人はどこいってもお寿司を作れると人気でしたね。ミュンヘンは福岡ぐらいの街だったので、日本食材店も存在し、日本食の材料を集めることはできました。

松田:食事はコミュニケーションをとるのにすごく良いツールです。最も受けが良かったのはお好み焼きで、かつおぶしをかけるだけで、みんな驚いてました。フードパーティーは文化の違いが見えてくるし、それを通してお互いにオープンになれて悩みなんかも打ち明けられるようになりますね。

項目11

質問者3:今回は文系の方が多いようですけど、理系の学生の留学は難しいのでしょうか?

荒木:農学部の友人で半年間南京に留学した人がいて、彼女によると4年間でも卒業できるそうです。ケースバイケースで留年する人もいるけれど、それをどう考えるかは人それぞれですね。中には研究室の先生のお墨付きで、留学先でも実験を続ける環境を整える努力をした人もいるそうです。なので、一概に理系だから留学は難しいということはないと思います。

松田:理系は行く利点があると思う。英語圏の大学は、私が知っている限り、グループワークが非常に重視されているから、チームメイトと一年間一緒に実験やプロジェクトをするので、すごく仲良くなれると思います。それに、専門的な授業があるから、自分のやりたい研究内容を詰めることができると思います。だから、もし可能ならぜひ挑戦してもらいたいですね。

渡邉:それに理系は、言葉を道具にする文系と違って、数学の知識とかはそのまま、留学先でもすごく使えると思う。カリキュラム上、留学すると留年してしまうっていう場合があったり、もしくは留年しないためには工夫もいるけど、大学院でいくということも、十分可能だと思います。

松田:ウィスコンシン大学とか、海外の工科大学と九大は提携ありますよね。

渡邉:ミュンヘン(ミュンヘン工科大)にも英語を使って学ぶプログラムもあるとききました。

項目12

質問者4:留学先では専門以外の分野の勉強もできますか?

垂野:僕は専門以外もとりました。アメリカの大学に限っていえば、学部は関係なく幅広く専門以外の授業を取ることができます。僕は経済専攻ですが、人類学とか環境政策の授業をとったりして楽しかったし、幅広い授業を受けられるのが留学の魅力だと思います。

松田:そこがイギリスとアメリカの大学の違いだと思う。イギリスは入学前に専攻を決めてしまうし、教養の授業が全くないので、専門を大学一年目からがっちり学びます。でも、留学生は専攻科目の制限がないので、色々な分野の授業を自分の興味に合せて受けることができますね。私もイギリスでは色々な分野の授業を受けたけど、特に問題がなかったのを覚えていますから、幅広く授業を取ること自体に問題はないですよ。

段原:自分は農学の専攻だけど、留学先ではほとんどビジネスの授業をとるつもりですね。それにタイのマヒドン大学でも授業を見たら、学問的なものから外れた分野も、例えば料理のクラスとかもありましたね。

項目13

轟:単位を互換したいと思ったときは、学部次第だと思うけど、専門分野じゃないと単位互換をできない場合がありますよね。

松田:もし単位互換が心配なら予め調べる必要があるけど、新しいことに挑戦することはいいことだと思うし、それでまた開けてくるものがあると思います。イギリスに行ってよかったのは、実験心理学というのはガツガツの研究系の学問で、自分が将来遂行したい専門領域ではないというのが分かったし、社会学をすることで人種や文化について深く学べました。海外の大学には、日本の大学では受けられないような授業もあるので、挑戦したい分野があるならぜひ受けてほしいと思います。

項目14

質問者5: 留学したときはいろんな国を訪れたそうですが、お金はどうやって工面しましたか?現地でバイトはしていましたか?

松田:現地ではバイトは一切しませんでした。日本で旅行費用はある程度貯蓄していたので、そのお金を使って旅行をしました。
アメリカもイギリスも、時間的にも移民法的にもバイトは難しいと思います。働けば、税金申告をする必要があったりと非常に面倒です。バイトで色々なリスクを取るより、勉強に集中する方がいいのではないかと思います。

渡邉:ドイツでは、ビザの関係上ではバイトは可能だけれど、交換留学生は学業面のことを考えると難しいと思います。僕の場合は奨学金を九大の方から毎月支給してもらいました。旅行まで行くとなると厳しいけど、ヨーロッパ国内なら安いお金でいろんな国を回れますよ。僕は、旅行は留学前に貯めたお金で行きましたね。

松田:九大の勉強を頑張って、奨学金をもらってちゃんと報告書を書いて帰ってくるのが一番いいね(笑)

荒木:発想は変わるけど、留学先を決める際になるべく多くの文化に触れたいという理由でアジアの大学を希望する人もいますね。そういう人たちに聞くと、アジアなら生活費が安いし、その国を拠点にいろんな所を訪れることができて、ネットワークひろげられたりするみたいですね。だからといって、その人達も遊んで帰ってきたわけでもないし、いろんな文化に触れたいという希望で留学先をきめるのもおもしろいと思います。

垂野:海外の一人旅は宿泊とかいくらでも交渉次第で値切れますよ(笑)文句言えば、一泊10ドルぐらいで泊まれたこともありました。

松田:そう、アメリカは結構いいかげんなとこが多いから、いろんな場面で交渉できますよ。

項目15

質問者6:松田さんに聞きたいんですが、交換留学から帰ってきて進学を目指しながら、一方で就活をしましたか?私も交換留学後に海外の大学院に行きたいのですが、不安があるので。それと、大学院の入学試験はどんなものでしたか?

松田:最初の質問ですが、私は進学すると決めていたし、一度決めたら曲げないし、ふらふらしている状態だとうまくいかないと思っています。私の場合、申請した大学院もコロンビアだけに絞っていて、そのことが合格に繋がったと思います。
文科省長期海外留学プログラムの試験内容に関してですが、最初は学内選考で志望動機や研究計画書を提出して、面接を受け、それを通過したら文科省の書類審査を受けます。文科省から書類審査合格の通知を受けた後、文科省で面接を受けました。面接は研究内容や行きたい大学に関して知識があるかに焦点が当てられました。例えば、私はコロンビア大学で福祉の勉強をすると決めていたので、どういうコースワークをこなさなければいけないのか、どうしてニューヨークでないといけないなどといったことを、詳しく問われました。面接が終わった後、仮合格通知が来て、2週間後にコロンビアから合格通知を受けました。大学によって違いますが、コロンビア大学の福祉学科の試験は、志望動機書や質疑応答形式のエッセイを書きました。例えば、どうしてソーシャルワーカーになりたいかとか、過去にどういうボランティアや語学の経験があってそれが今の自分にどうつながっているのか。その他に、オーラルの試験やTOEFLのスコアやGPAが要求レベルをクリアしているかなどですね。エッセイは英語レベルの判断をするものだけど、もっと大事なのはどのようなポテンシャルがあるかということなので、どのように自分を売るかということが鍵になってくると思います。

司会:今日はほんとに、ざっくばらんにいろんな話をしましたが、みなさんありがとうございました。